知らないと損する⁉お金や税金ニュース Vol.6 ~マイクロ法人~
~マイクロ法人~
設立のメリットと注意点を解説
近年では個人事業主が「マイクロ法人」を設立し、個人事業と会社経営を並行させるケースが増加しています。マイクロ法人に明確な定義はありませんが、一般的には将来の事業拡大を目的とせず、代表者1名のみで運営する会社をいいます。
そこで今回は「マイクロ法人」のメリットと注意点について解説します。
メリット1:所得の分散による節税
「超過累進税率」が採用される所得税では、下表のとおり課税所得に応じて5~45%の税率が適用されるのに対し、法人税率は最大でも23.20%に設定されています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
したがって課税所得が一定の水準を超えると「所得税率>法人税率」となるため、その場合にはマイクロ法人を設立し、法人側に一部の所得を移転することでビジネス全体の納税額が圧縮されます。
さらにマイクロ法人から受け取る役員報酬については、給与所得控除を適用できる点もメリットとなるでしょう。
メリット2:社会保険料の節約
個人事業主の場合には「国民健康保険+国民年金」に加入しますが、国民健康保険は所得に基づいて保険料が算定されるため、事業所得が増えるほど保険料負担も増加します。
それに対して給与所得者が加入する「健康保険+厚生年金」は、あくまで給与や役員報酬額のみに基づいて算定され、それ以外の収入は全く影響しません。
したがってマイクロ法人を設立し、自らの役員報酬額を少額に設定することで、社会保険料の負担を圧縮できるのです。
マイクロ法人の注意点
個人事業とマイクロ法人が同様の事業を行う場合、ビジネスを行う上でのマイクロ法人の必要性が認められず、租税回避行為(税金逃れ)と判断されるリスクがあります。
また今後もマイクロ法人設立による社会保険料の減額事例が増加した場合、算定方法自体が改正される可能性もあるでしょう。
さらに一般の法人と同様にマイクロ法人も登記や決算、社会保険手続きが必要であるため、事務負担が増加するだけでなく、司法書士や税理士、社会保険労務士報酬などが発生し、かえってコスト増となるケースも珍しくありません。